#0223 職場つみたてNISAについて
2024/11/27
本来、投資をして運用益(売却益、配当/分配金)が出た場合はその約20%が課税されますが、NISAにおける運用益は非課税となるので、手軽に始められる資産運用として話題になっています。また、資産運用立国実現プランの一環として国が推奨していることも、話題になった理由の1つと言えます。
個人の投資方法として浸透しているNISAですが、「職場つみたてNISA」という制度を用いることで、法人でも利用することが出来ます。
今回は、この制度についてご紹介いたします。
〈概要〉
・2017年10月より導入
・民間企業等、官公庁等又はその他の事業体(以下、「事業主等」)が利用対象
・職場という身近な場を通じて資産形成ができるよう、事業主等が役職員、従業員(以下、「利用者」)を支援する福利厚生制度
・投資に際し、事業主等は「給与の〇%」などと規約を設け、利用者に金銭(以下、「奨励金」)を付与する
※奨励金は給与課税されます
〈運用〉
上図の通り、利用者への金融、投資に関する説明はNISA取扱業者(証券会社等)のサポートを受けられるため、事業主等の抱える不安は軽減されると思います。
〈投資〉
NISAには、つみたて投資枠・成長投資枠という2つの枠があります。これまでのNISAでは2つの枠の併用は不可能でしたが、新NISAでは併用が可能となり、投資の幅が広がりました。(※2つの枠の違いについては、下表をご覧ください。)
また、積み立てたお金に関しては、用途制限なくいつでも引き出しが可能です。
成長投資枠は1,200万円まで | ||
・長期積立、分散投資に 適した一定の投資信託 | ・動きが読めない上場株式や 投資信託 | |
なお、職場つみたてNISAにおいては、以下の点に注意が必要です。
・つみたて投資枠を利用する場合、定時定額の積み立て方式による拠出に限定されます。
・成長投資枠を利用する場合、リスク回避、事務負担軽減等の観点より、定時定額の積み立て方式による拠出が推奨されています。
〈拠出〉
・拠出方法は、以下どちらかとなります。
①給与からの天引き
②利用者の証券口座・預貯金口座からの引落し
〈税制措置〉
・事業主等が支給した奨励金は、賃上げ促進税制の対象となる「給与等」に該当するため、適用要件を満たした場合には一定割合を法人税額(または所得税額)から控除することが出来ます。
この制度を導入するメリットとして、従業員の金融リテラシーの向上が挙げられます。
正しい金融知識を身につけられるだけでなく、定期的に新しい情報を得られる環境は、預貯金以外の資産が重要視される現代において重宝されるのではないでしょうか。
税制措置を用いることが出来る会社、目に見える福利厚生を受けられる従業員、双方が恩恵を受けられる便利な制度だと思います。
日本証券業協会のHPには、ガイドラインや手順フロー図なども掲載されておりますので、気になった方はぜひご参照ください。
〈参考〉
・ 職場つみたてNISA / 金融庁
・「職場つみたてNISA」とは? / 日本証券業協会
税理士法人 さくら総合会計 監査部 伴 萌花