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コラムレター

#0172 事業承継税制のメリット・デメリットについて
2017/10/31
 平成20年度税制改正より適用された事業承継税制ですが、適用要件が細かく経済産業大臣の認定や継続届出の提出など手続きが煩雑であるため、制度を活用する企業が少ないのが実態でした。そのため、平成25年度、平成29年度に利用しやすくなるよう改正が行われてきました。
 今回は事業承継税制の主な適用要件とメリット・デメリットについてご紹介します。

<相続税の場合の主な適用要件>
① 都道府県の認定を受けた中小企業で、常時雇用している従業員が1名以上いること
② 先代経営者が相続開始前に代表者であったこと
③ 先代経営者と関係者で全体の50%以上の株式を保有していたこと、かつ、その中で
  後継者を除いて一番多く株式を保有していたこと
④ 後継者が相続開始直前時点で役員であり、相続開始後5カ月以内に代表者になること
⑤ 5年間、平均で雇用の8割以上を維持すること(従業員5人未満の事業者要件緩和)
⑥ 後継者が株式を死亡時まで継続して保有すること

◎メリット
 中小企業の株式を算定する場合、純資産方式等で評価額を算出し、相続財産として価格が決まります。相続税の納税負担が多額になる場合がありますが、この制度を活用する事で後継者の納税負担を軽減する事ができます。
  
◎デメリット
 上記適用要件⑥にある通り、長期間の管理が必要となります。もし、適用要件が株式保有期間に該当しなくなった場合、多額の相続税もしくは贈与税の負担を求められる事となります。
→今回の改正により相続時精算課税制度の併用が出来るようになり、認定が取り消された場合、税負担が大幅に軽減されることになりました。

 事業承継税制の適用を受ける場合、後継者が死亡するまでの期間適用要件を継続していけるか等慎重に検討し、申請する必要があります。
                   
税理士法人 さくら総合会計 監査部 蓑口 知明