税務や会計業務を中心に事業全般のコンサルタントを担う税理士事務所
011-271-1417
(受付時間:平日9:00~17:30)

コラムレター

#0164  白紙領収書について
2017/01/14
 平成28年に話題になったニュースで、自民党の官僚が政治資金パーティーの際に受領し、後から金額を記入していた白紙領収書が大量に見つかった問題や、富山市議の政治活動費の不正受給問題に白紙領収書を用いていたことなど、『白紙領収書』の問題が多く取り上げられていました。「法的には問題ない」と発言があったことで世間を騒がせた問題ですが、白紙領収書は、経理をする上で本当に問題ないのでしょうか。

・白紙領収書を発行した場合
 民間企業の会社役員が、取引先に金額欄の記載が何もなされていない領収書を大量に渡し、脱税に加担したことで、「法人税法違反ほう助」の罪で懲役6ヶ月、執行猶予3年の判決を言い渡された判例があります。たとえ、取引先に「白紙領収書」を発行してくれと頼まれても、法律違反になりますので絶対に断らなければなりません。

・領収書を受け取ったが、白紙領収書であった場合
 領収書に宛名や日付が入っていない場合は、帳簿等に不備なく正しい事実を記載しているのであれば、領収書の効力を認められるケースもあります。
 金額が入っていない領収書を受け取った場合は、発行元にしっかり金額を記入してもらうか、再発行を依頼する必要があります。ただし、仮に正しい事実であったとしても、領収書に発行者以外の者が日付や金額を記入し、又は書き換えを行った場合は、「私文書偽造」の罪で最大5年以下の懲役に科されますので注意が必要です。
 領収書を受け取る場合、宛名、日付、支払金額が漏れなく、記入されているか、間違いがないかを再度確認し、未然に防ぐようにしましょう。

 政治の世界で、常態化している白紙領収書も判例で示されている通り、明確な法律違反です。税務調査で、帳簿に記載した領収書が存在していたとしても、虚偽の事実だとすれば、反面調査によって否認を受けることになります。最悪の場合、上記の通り処罰の対象になることもあります。このようなニュースをきっかけに領収書のあり方を見直し、不備のない帳簿作りをこれからも心掛けていきましょう。


税理士法人さくら総合会計 監査部 伊東 真